ワークフローが乱立しているオールドタイプな組織へ
「メール・チャットで承認など非常識だ」
皆さん、こんにちは。
会社でよく見かける、管理部門の一部の「オールドスタイル」な人々が、
現場部門の担当者がメールやチャットで上司から承認を得るという行為を嫌悪している光景についてお話します。
彼らの主張はこうです。「メールやチャットで承認を得るなんて非常識だ」
それは本当にそうでしょうか? 私たちは承認の本質を見失っているのでしょうか?
まず、電子署名の観点から見ると、メールやチャットは口頭と同等に見なされ、法的拘束力がないとされます。
しかし、これは対外的な契約の話であり、社内の上司と部下の関係においては、本人の真正性が問題になるケースは非常に稀です。
承認の本質
それよりも重要なのは、承認とは何か、という問いを考えることです。
ぽ〜さんの経験ですが、ある化学品の工場でのコンサルティングの際に、クライアントの工場長が言った言葉を印象的でした。
「会社を一番効率的に動かすやり方は、トップが一人で全部承認することなんだ。」
つまり、みなさんが行う承認とは「経営者の意思の反映」の権限委譲なのです。
ワークフローの本質は以下の二点です。
①経営の意思と反した決定ではないかの確認、
②ワークフローを通して専門的見解・付加価値をつけること
しかし、多くの場合、「オールドスタイル」な人々はこの前提を忘れ、「上長への報告ツール」という矮小な用途でワークフローシステムを捉えがちです。
ワークフローを乱立させるな
断言します。
メールやSlackのチャットでの承認で十分です。
それでも心配な「オールドスタイル」の方々は、メーラーに承認ボタン機能を追加するか、Slackのワークフロー機能を活用してみてください。
ワークフローを記録や証跡としてだけに使うのはやめましょう。
強いていえば、契約書などの署名の真正性を厳密に問われる文書の承認には真正性の担保のためワークフローが必要かもしれません。
ただ、それらは多く、先の二点の本質的な必要性の一つである専門的価値の付与(法務部など)が必要なものです。
単なる上司への確認や報告にすぎない承認行為は、もっと効率を重視したツールを導入するなど、メリハリをつけるべきです。
いまや、モバイルでの操作を大前提にすべきかもしれません。
それを忘れて、何でもかんでもワークフローにしてませんか。
ワークフローの乱立は、組織の生産性を阻害するだけでなく、従業員のモチベーションを下げる可能性もあります。
その結果が冒頭のようなやり取りへと帰結してしまうわけです。
経営者の皆さん、ワークフローの本質を見つめ直し、組織の効率性と生産性を高めるための戦略を再考してみてはいかがでしょうか。
「オールドスタイル」からの脱却は、組織の成長と進化に不可欠です。