承認者は判断基準の言語化を試みよ
最も非効率なアドミ業務とは
「承認」
それはぽ〜さんが、最も効率化が必要だと思う会社の業務の一つです。
詳しく調べたことないんですけど、さまざまな承認ワークフローにおける「非承認率」って、1%切ってませんかね?
99%はなんだかんだ承認されてませんか、ということ。
大半の承認依頼は、承認されるのが分かりきっているのに、承認ワークフローによる証跡が必要だから回覧しているに過ぎないのです。
「それは必要悪だよ。承認証跡を残さなかったら会社のガバナンスが崩れるだろう」仰る通り。
なにも承認をなくせ、と思っている訳ではないのです。
(話はそれますが、以前、ソフトバンクでしたっけ、同じような疑問にあたったのか、「承認依頼から48時間以内に承認しなかったら自動承認とする」というなかなか画期的な仕組みを導入したのですが、法的な問題があるようで、すぐ廃止になったそうです。)
ソフトバンクの試みは画期的すぎるにしても、この承認行為の非効率はどうにかしたい。
そのためには、承認の構造をまず考える必要があると思います。
承認には、大きく二つのパターンがあると思います。
二段階目はなくせないですよね、これは承認が必要。
形骸化された承認行為は徹底してなくそう
一つめは、申請者目線で「これは絶対に承認されるだろう」という確固たる自信がある内容」。
二つめは、申請者目線では判断がつかないので、承認者に判断を求めるパターン
議論にあげたいのは一つ目のパターンです。
更に、一つ目のパターンにも細分化が可能です。
一つには、まったく同じ状況や条件下での契約の申請だったりする。いわゆる「過去実績」パターン。
これは、会社の規定などでどんどん定型化して、承認不要の規定を作っていくべきでしょう。
もう一つは、申請者の価値観や判断基準クライテリアでは確信をもって必要といえる申請
これは議論が分かれますね。申請者はいかに自信があろうとも、決裁権限がないために、承認を必要とするわけです。
承認者が100%申請者と同じ判断基準を持っているのかどうかはわからないので、承認が必要なわけです。
それでは、申請者の判断基準と承認者の判断基準はどれぐらい異なるのか、申請者のあなたは把握していますか?
この承認者の判断・価値基準を把握することは、これまでビジネス上の重要なソフトスキルだともされてきました。
申請を否決されることを通して、学びを得ることが教育の一貫ですらあるように捉えられている節もあります。
承認者(多くは申請者よりも経験豊か)な価値基準は事前的には手取り足取り教えない、何度もレビューされてこそ身につくものだ、という徒弟制度の名残のような考え方です。
ぽ〜さんは、この「背中をみて学べ」「叱られて学べ」の精神は真っ向否定します
違うのです。
言語化できることは、惜しみなく言語化すべきなのです。それを経験だの暗黙知だの言っているので、いつまでも管理業務は科学的になれないのです。
惜しみなく言語化してもなお、伝達できないスキルや技術があるとすれば、それこそ気づきによってしか得られない「コアコンピタンス」だと思います。
グレーな価値基準を明示せよ
言語化し、それを反復的にしていくには以下のような方法が有効です。
これによって、ソフトバンクの行った乱暴な自動化から進化した、意思ある自動化 が可能になります。
テクノロジーの活用:
AIを利用して、過去の承認データから学習し、一定のクライテリアを満たす申請に対しては自動承認するシステムを検討する。
これにより、承認者の負担を減らし、承認プロセスの効率を向上させることが可能となります。
クライテリアの明示化と自動化:
承認者の判断基準を明示化し、それに基づいて承認プロセスを自動化する。
これにより、申請者は自分で判断でき、必要な場合だけ承認者に承認を求めることができるようになります。
コミュニケーションの強化:
申請者と承認者の間のコミュニケーションを強化し、互いの判断基準や期待を明確にする。
これにより、無駄な承認プロセスを減らし、効率的なワークフローを構築することができます。
承認者が自分の時間を無駄にしないために
「それぐらいアドミ業務だから、いいよいいよ」と承認者側(えらい貴方)は思われるかもしれません。
承認者側にとって、何百もある申請から「リスクの高い」申請を嗅ぎ分けることがスキルとさえ思われているかもしれません。
貴方の単価はそこに使うべきではないのです!
恐れずに「私は承認をしたくない」「自動化をしたい」と主張しましょう。
そして惜しみなく、自分の価値基準(判断のクライテリア)を開示しましょう。
そして残った「本当に判断が必要な承認」についてこれまでの数倍の時間を使うべきなのです。