複雑系と単純系:業務改善プロジェクトにおける線形性

複雑系は悪です。

仕事をしていると、本当にいろんな考え方のプロトコルの人に出会いますね。
ぽ〜さんが仕事の中で出会う人々を見ていてよく感じるのは、

「あ、この人は複雑系の考え方だな」という印象です。


結論から言うと、このスピード重視のビジネス環境で複雑系の考え方は害となります。

ここでいう複雑系は自然科学におけるそれ(カオス)とは少し違う概念です。

複雑系の特徴

その特徴は以下です。

1. 課題に対して極めて網羅的に実施すべきタスクを調査する:
これは良い点です。誰しも必ず行いましょう。

2.  タスク間の相互作用を良く理解する
これも良い点です。

3,  その結果、非線形の進路を選択する
これが現在のビジネス環境では大きな問題点となることがあります。

複雑系とそれと対になる図示すると以下です。

複雑系の進め方

単純系の進め方

なぜ複雑系は褒められてしまうのか

複雑系の考え方は1)の特徴から、ある達成すべきゴールに対する課題の洗い出しを行います。

これは複雑系や単純系に関わらず絶対に行うべきことです。
上司はいつも「課題を徹底的に洗い出せ」といいますからね。

複雑系が、単純系と違うのはは、その初動です。

とりあえず初動では関連しそうな全てのタスクを無視せず解決しようとします。
象徴的なのは「関係者が全員集まったプロジェクトキックオフ」です。

これも、何も疑うことのない当然の、むしろ抜け漏れがあったら怒られるぐらいの絶対善とされてます。
「関係部署はもれなく巻き込め」という言葉をそのまま捉えると一見正しいように見えます。

問題はその後です。

複雑系は、極めて真摯に、関連タスク全てに向き合います。
関連するタスクを担う部署は、本質的なゴールには関係ないとしても、
これまた真摯に枝葉とも言える課題をさらに提案します。
この一連は「丁寧な仕事ぶり」と賞賛されます。

それで勝てるのか

しかし結果が残酷です。
複雑系はあらゆるタスクを抱えて、疲弊します。

そしてゴールに至るまでの時間において単純系と比較して多くの時間を要し、
段々とプロジェクトは遅延している揶揄されます。

ひどい話ですね・・・いえ、これがほぼ日本における全てのプロジェクトの日常です。

まず、全ての人が悟るべきは、「現代において全てのタスクを完了させることは不可能だ」という前提に立つことです。
そして、断捨離、捨てる勇気を持つことです。

単純系になるためには


単純系はともすると天才肌で突き進む起業家のように思われますが、そうではないです。
むしろ周辺もわからず猪突猛進方で成功したとしたらそれは「運がよかっただけ」です。

抽象的な話が続きますので、具体例を出しましょう
流行りのAIを利用した契約書レビューツールを導入するプロジェクト」を考えてみましょう。

複雑系も単純系も、
まずは法務ですね。購買も契約に関連する。総務も捺印プロセスがあるから関係するかも。
というように関係者の洗い出しをしますね。

その後、ツールの調査、各部署による検証・・・などなどタスクを洗い出します。
ここまでは単純系も複雑系も同じことを行うはずです。

違いは、その後です。

複雑系は、関係者全員が納得し合格点を出すような進行を志向します。

一方単純系は、こう考えます。
「このゴール、つまり、最大の受益者は何なのか」

契約書レビューを短縮した時に受益するのはだれでしょうか。
契約レビュー業務をしなくてよくなる法務や購買でしょうか?

いえ。企業にもよりけりではありますが、
この場合には「契約工数が短縮され顧客との契約を早期に締結できる営業部門」のはずです。

まずゴールをそこにおいた場合、単純系は営業部門による最終合意をゴールの手前におきます。

そうすると、法務は「営業契約に関わっている論点がツールで網羅されているか」
というタスクをゴールの線上にまず置いて確認する必要に迫られます。

次々とタスクは逆算的に線形で作られていくはずです。

単純系の問題解決はつまり「受益者=ユーザー目線」なのです。

単純系になって先んじよう

複雑系はいわば八方美人です。

一方単純系は時に周辺部署からは「尊重してくれていない」と言われるリスクも背負います。
むしろ、この「周辺と上手くやるのが管理部門」という盲信的評価基準が、複雑系を産んでいると思います。
時間が掛かってもいいから、嫌われず丁寧にやれ」こんな指示は時代遅れです。

もちろん、喧嘩しまくれってことではありません。事後的であってもケアをしていくべきかと思います。

以前経路依存という言葉も紹介しましたが、
これも、かつては絶対善とされた経路依存な考え方からの脱却です。
なかなかに難しいのですが、この思考シフトがスピードが全ての現在において管理部門にも必須であるとぽ〜さんは考えています。

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