DX人材育成は失敗する:スキル水準の曖昧さとその解決策
人材育成の現状と課題
三井住友信託銀行が正社員の7割をDX人材に育てる計画を進めているというニュースが報道されました。
DX人材の不足は以前より問題となっています。
一方で、この類の記事をみても、笛ふけど踊らず感はいつもあって結局のところ進まない予感もバリします。
なぜでしょうか。
三井住友信託、正社員7割DX人材に 30億円で学び直し
三井住友信託銀行は正社員の7割にあたる6500人を、システム導入などを指揮できるDX(デジタルトランスフォーメーション)人材に育てる。リスキリング(学び直し)に3年で30億円を投じ、新たなサービスの開発や業務の効率化につなげる。フィンテックとの競争が激しくなり、リスキリングの巧拙がデジタル時代の浮沈を左右する。
日経会員限定記事 8/25 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB107AG0Q3A810C2000000/ 有料記事になります(日経高いよね・・・)
2. スキルレベル
三井住友信託銀行はこの記事の中で、「目標とするスキルレベル」を果敢にも定義しています。
定義しようとする試み自体は大変素晴らしいと思います。
一方で、ぽ〜さんは、まさにこの表を見た時の”曖昧模糊とした印象” が根本的な問題と思っています。
具体的には
「Officeが基本操作できる」(LV1) と
「簡単なプログラミングができる」(LV3)
この間にある根本的な違いが言語化されていないのです。
命令的と宣言的プログラミングの理解
結論を言うと、ぽ〜さんは、宣言的プログラミングと命令的プログラミングの違いの理解不足がこの問題の背景にあると思います。。
一般的に、Excelの関数が使える(だけの)人をプログラマーとはあまり呼称しないですよね?
しかし、アカデミックにいえば、Excelもプログラミング言語の一つです。
Excelの特徴は、それが極めて宣言的・抽象的であり、誰にでも使いやすいことである点です。
宣言的なプログラミングと命令的なプログラミングの違いは以下のようになります。
要は、範囲の足し算をするならSUM関数と、したいことがそのまま言語になっているのが宣言的なExcel関数 ということです。
特徴 | 命令的プログラミング | 宣言的プログラミング |
---|---|---|
焦点 | 「どのように」するか | 「何を」するか |
手順 | 手順と操作を詳細に記述 | 手順を抽象化、システムに任せる |
可読性 | 詳細な手順が必要 | 高レベルの抽象化 |
副作用 | 副作用があることが一般的 | 副作用を避けることが一般的 |
再利用性・組み合わせ | 複雑な組み合わせが必要な場合がある | より簡単に再利用・組み合わせ可能 |
命令的プログラミングへの一歩
日本で特に管理系業務をする方は、極めてExcelのリテラシーは高いです。
先進国の中でもトップクラスでしょう。
一方、そこで止まっている人がほとんどで、命令的なプログラミング言語に踏み出せていないのです。
これは、After Excelの学習ステップが明確化されていないという問題があります。
多くのプログラミング講座は
Excelが宣言的な言語に関わらず、いきなり「じゃあ、For ~ Next を覚える」と
いきなり、命令的な言語体系を覚えさせてようとするのです。これでは挫折する。
5. シーケンシャルなDX人材の育成
ぽ〜さんは、Excelの次は、比較的に宣言的な言語の一つであるSQLを学ぶのが自然なステップだと思います。
またはPythonのモジュールを使って何か作ってみるのもよいでしょう。
(Pythonの各種モジュールは極めて宣言的です)
を前提にすることで、LV1からLV3へのシーケンシャル(連続的な)なリテラシーの向上を図ることができそうです。
この考えに基づいた 管理部門向けDX研修体系を現在考案中です。
お楽しみに!